本記事では、ドゥテルテ大統領のデータや経歴等を一挙に公開します。
その後、フィリピン大統領になる際に掲げた公約について紹介するとともに、ドゥテルテ大統領の国民からの評判、また人柄等(←ここが大事)について紹介します。
以下の記事と合わせて読んでいただけると、理解がさらに深まるかと思います。
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ドゥテルテ大統領の個人データ
父であるVicente Duterteはマルコス政権自体に内務相を務めており、ドゥテルテ大統領はバリバリの政治家の家系に生まれたわけです。
ドゥテルテ大統領の経歴
ドゥテルテ大統領の経歴をさらっと見てみましょう。
1977-1986-特別弁護士、その後ダバオ市の市検察官
この経歴だけをみると、バリバリの政治家としての顔しか見えませんが、実はドゥテルテ大統領は、10代のころ、何度も刑務所に入れられた経歴を持っています。自身でも人を刺したことがあると明言していますね(参照)。以前はかなりスレていたようです。
政府機関で経験を積んだのちダバオ市長を合計21年間(3年間7期)務め、治安が悪かったダバオをフィリピンで最も安全な都市へと導きました(参照)。このダバオで行ったことの実績が大統領選挙で大きな支持を集めるきっかけになったのは言うまでもないでしょう。
ドゥテルテ大統領の支持率はなんと82%!
以前の記事でもお伝えしましたが、ドゥテルテ大統領は、フィリピン国民から非常に高い評価を得ているのです。2019年12月に実施されたドゥテルテ大統領の満足度(支持率)調査において、「満足している」と回答した国民が82%にのぼりました(参照)。ちなみに、「どちらでもない」が8%、「不満」が10%です。
そして何よりも驚くべきは、この支持率が右肩上がりで上昇していること。多くの国の大統領や首相は、就任時をピークに下がっていく傾向があるのに対し、ドゥテルテ大統領は毎年支持率を高めているのです。政策および人柄が好意的に評価されているといえるのではないでしょうか。
ただし、当然ながら裏組織の人間たちからはドゥテルテ大統領は嫌われています。ドラッグの売買などがやりにくくなったわけですから。また、一部の富裕層や政治家たちからも反感を持たれているのは事実の様です。
フィリピン大統領選で掲げた公約
では、ドゥテルテ大統領はフィリピン大統領になるにあたり、どのような公約を掲げたのでしょうか。興味ない人は飛ばしてください(参照)♪
(これらはドゥテルテ大統領の希望であり、これらを実施するためにはフィリピン議会を通過する必要があります。あくまでもドゥテルテ大統領の考えであり、国の施策ではありません。)
治安対策
・就任後6カ月以内に犯罪組織撲滅を図ると明言した
・警察官や字形集団に対し、犯罪者の殺害を促すような発言をした。また死刑制度の復旧を求めた
・麻薬犯罪に関与したとみられる警察高官、地方首長を名指しし、自首を要求した
・未成年の夜間外出、監視カメラの設置、午前0時以降のアルコール販売等を禁止する
ドゥテルテ大統領がまず掲げたのは、徹底的な治安対策です。フィリピンでは、ドラッグや窃盗が横行しており、ドゥテルテ大統領はそれらを徹底機的に撲滅し、クリーンなフィリピンを目指しました。また、フィリピンで廃止された死刑制度を復活されると明言したのも驚きでした。
汚職対策
・情報公開に関する大統領令を発布。情報公開法案の成立を目指す
・大統領府の自由裁量で予算余剰分の使途、振替先を身める支出促進計画(DAP)の撤廃
・関税局、内国歳入局等政府関係職員の汚職を徹底調査
また、ドゥテルテ大統領は、政府機関のクリーン化を公約しました。以前のフィリピンは、政府機関の汚職がまかり通っており、問題はお金で解決するような状況がありました。ドゥテルテ大統領は、まずは市民への影響力の強い政府機関に手を付けることにしたのです。
インフラ整備の加速
・インフラ整備費をGDP比5~7%まで引き上げる
・積極的にPPP(Public-Private-Partnership)を活用し、2017年半ばまでに17事業を事情社選定段階まで進展
・インフラ予算執行、PPP事業へ参加者を増やすための具体的な取り組みを実施
フィリピンの将来のためには、経済の発展は欠かせません。ドゥテルテ大統領は、インフラ整備に力を注ぐことに決め、過去最大規模のインフラ設備計画「ビルド・ビルド・ビルド」を実施しています。
財政改革
所得税、法人税の減税。低所得者層は税徴収の対象外に
ガソリン、ソフトドリンク、ジャンクフード、アルコール、酒への課税強化、VAT等の引き上げ
銀行機密法の撤廃による徴税強化、密輸の取り締まり強化による関税の徴収漏れ抑制
ドゥテルテ大統領は、政府の財源を手に入れるために税率の変更にも着手すると伝えました。しかし、経済をよりよく回すために、所得税や法人税の減税をうたっているところは興味深いです。また、当初から課題の1つであった低所得者層への税免除なども織り込まれています。
これらがドゥテルテ大統領が公約に掲げたものです。4年後の2020年、すでに達成されたものもあれば、達成できていないものもあります。実はドゥテルテ大統領就任の1年および2年目には、公約がなかなか進まないことに対して、フィリピン国民が不満を抱いた時期もあったのです。しかし、2020年現在、80%を超える支持率を得ていることからも、すべてではないにしても、市民がおおむね満足する形で政府の施策が進んでいると考えてよいでしょう。
フィリピンの犯罪率の変化(年々減少中)
ちなみに、ドゥテルテ大統領のトレードマークは、こぶしを強く握った「アイアンフィスト」。このアイアンフィストは、「変化と誠実さ」を示すといわれています。誠実に、しかし大胆にフィリピンを変えていくんだというドゥテルテ大統領の強い意思がこもったポーズなんですよ。
ドゥテルテ大統領のトレードマーク「アイアンフィスト」(参照)
フィリピン人が持つドゥテルテ大統領のイメージ、人柄
では、ドゥテルテ氏に対して、フィリピン国民はどのようなイメージを持っているのでしょうか。フィリピン人たちから得た情報を少しまとめてみます。
フィリピン人は、ドゥテルテ大統領について、「厳しい」「優しい」の2つのイメージを持っているようです。一見相反する意見のようにも見えますが、どういうことでしょうか。
まず、「厳しい」に関しては、みなさんもイメージがわくと思います。ドゥテルテ大統領といえば、治安改善、麻薬撲滅などのために、非常に強引な施策を行ってきました。そのため、会見ではいつも怒ったような顔で、挑発的なコメントを述べているので、「厳しい」というイメージを持つのでしょう。
しかし、「優しい」という印象はどこから来るのでしょうか。私も知らなかったのですが、ドゥテルテ大統領は、国民が天災などに見舞われ大きな苦しみを抱えた際、忙しい業務の間をぬって被害者たちを訪問し、「ハグ」をして回っているというのです。そして政府ができる限りの支援を提供します。これにより被害者たちの心は少し救われ、苦しみを乗り越えることができるというのです。
タール火山での被害者を訪問(参照)
ちなみにドゥテルテ大統領は、「Tatay Digong」と呼ばれています。「Tatay」はタガログ語で「父」、「Digong」はドゥテルテ大統領のニックネームです。フィリピン人にとってドゥテルテ大統領は、普段は少し厳しいけど、困ったときには絶対に助けくれる、お父さんのような存在だといいます。
ドゥテルテ大統領が抱える持病と時期大統領選のゆくえ
フィリピンで最も高齢の大統領となったドゥテルテ大統領は、2020年現在、74歳です。フィリピンで74歳というとかなりの高齢。年齢による体力低下も心配されています。さらに、ドゥテルテ大統領は2019年、重症筋無力症という持病を抱えていることを発表しました。重症筋無力症は筋力を低下させ、その結果まぶたが垂れ下がったり、視界がぼやけたりする他、四肢が弱ることがあるとのこと。
このような体調の中、フィリピンのために全く休まずに公務を続けているのがドゥテルテ大統領なのです。心配ですね。
ちなみに、フィリピンの大統領の任期は6年で延長はできません。しかし、ドゥテルテ大統領としては自分の後を誰が継ぐかということも悩みの種のよう。ドゥテルテ大統領は次期の大統領について「必要なのは人を殺す覚悟と自分が殺されてもいい覚悟。後継者がいない」と心の内を明かしています(参照)。
この「殺す」という言葉を頻繁に使うことで、特に海外メディアからは頻繁に叩かれています。これは当然のことといえますが、それでもドゥテルテ大統領がこの言葉を臆さずに使うことは、たとえ自分が悪者になっても、国民たちを何とかして守りたいというドゥテルテ大統領の「優しさ」なのではないかと私は考えています。
フィリピンでは、犯罪者のせいで市民が命の危険にさらされたり、実際に殺害されたという事例が多くあります。ドゥテルテ大統領は、自分が犠牲になっても、市民の安全と平和を守りたい。そう考えているのではないでしょうか(私が死刑や殺害を容認するものではないことはご理解ください)。
終わりに
本記事では、フィリピンのドゥテルテ大統領の詳細について紹介しました。ドゥテルテ大統領は、フィリピン人たちからお父さんと呼ばれ、困ったときには助けてくれる存在として認知されているようです。
日本では、ドゥテルテ大統領は過激な発言ばかりをする危険な大統領だ!というイメージが強くあるかと思いますが、フィリピン人からのイメージは全く違います。そして、ドゥテルテ大統領のことを調べる中で、フィリピン人たちがなぜ彼を支持するのか、少しわかったような気がしました。
下記の記事は、少し違った視点でドゥテルテ大統領のことを書いていますので、もし興味がありましたら、ぜひ読んでくださるとうれしいです。