フィリピン在住者として、多くの人がフィリピン株に興味を持ってくれていることはうれしく思います。
しかし、フィリピン株を始めれば必ず成功する!と考える人もいるようで、そのような人々は、フィリピン株を始めたのち、急激な下落相場に巻き込まれ、多くの資産を失うという話も聞きます。
フィリピン在住者として、フィリピン株は資産を増やせる可能性が高いと感じていますが、その一方で資産を大きく失う可能性も秘めていると考えています。
そのため、フィリピン株を始める方は、ぜひ下記の注意点についても確認したのち、自己責任で実施してくださいね。
フィリピン株を始める際の注意点6選。大損を防ぐために知っておくべきこと
フィリピン株を始める際には、ぜひ以下の6つの注意点を理解したうえではじめてくださいね。
フィリピンン相場が今後上昇し続けるとは限らない
フィリピン株の優位性として、コロナ前まで上がり続けていたGDPや、2050年過ぎまで続く労働者人口の増加(人口ボーナス)などが理由として紹介されることが多いです。
これらはもちろん事実ですが、株価との関係で見た場合、少し注意が必要です。
たとえば、フィリピン株2000年以降の変化を見てみると、ものすごい急上昇をとげていることがわかります(画像参照元)。
しかし、10年で見た場合、違う姿が見えてきます。
2018年をピークに、減少に転じていることがわかると思います。
現在の低いフィリピン相場は、もちろんコロナが大きな原因です。
しかしフィリピン国内では、2018年頃より株価上昇が停滞し始めたという現状もあります。
その理由の1つは、フィリピン国内の現状と株価が乖離しすぎたというものです。つまり、フィリピンの株価はすでに高くなりすぎてしまっている、というのが投資家たちの意見でもあります。
もちろんフィリピンは将来有望な市場だとは思いますが、今後確実に株価が上がっていくわけではないということはご理解ください。
世界最長のロックダウンでフィリピン経済はガタガタ
フィリピンは2020年の3月よりロックダウンを開始し、現在も国内全域で外出制限などが実施されています。
フィリピンに来てみないとわからないと思いますが、この影響はものすごいです。
町中のお店は閉店し、飲食店はいつもガラガラ。富裕層・中間層は問題なく生活できているものの、仕事を失い、日々の生活だけでも大変な家族が増えています。にもかかわらず、物価の価格は急上昇。インフレ率は過去最大級を記録し、肉をはじめとした食料品の価格はかなり上がっています。
これまでフィリピンの経済を支えてきたのはフィリピン人の購買意欲だと言われますが、さすがにこの現状ではお金をたっぷりと使うことはできません。外食自粛で外食業は大打撃。外出制限でお酒の売り上げも減少。車や不動産の購入は激減。これが今のフィリピンです。
フィリピンは、コロナで経済が大きく落ち込んだ国の1つです。この落ち込みは、すぐに改善できるものではないというのが著者の意見。
そのため、ワクチンが普及し、ある程度日常が戻ったとしても、これまでの経済に戻るには時間がかかると思います。また、ワクチンが国民全員に普及するのは2023年とも言われています。
さらに、2021年3月現在、マニラやセブを中心に感染者が増加。1日あたり5000人を超えようとしています。
また、3月13日に日本で報道されたフィリピン変異株がフィリピンのWHOにも正式に確認されました。これを受け、再度厳重なロックダウンなどに発生する可能性が十分あり得ます。
確かに今は、フィリピン株を仕込むのによい時期と思いますが、フィリピン株が大きな成功を収めるには長期的な視点が必要なこと。また、2021年は再度大きく落ち込む可能性があることは理解しておくとよいでしょう。
※2021年3月29日より、マニラおよび近隣エリアがECQというもっとも厳しいロックダウンに戻ることになりました。これにより株価はさらに低下すると考えられます。
新しい新型コロナウイルスのフィリピン変異株P3とは?
現在、フィリピンの株式相場を不安にさせているのが、コロナ感染者の増加とフィリピン変異株といわれるP3です。
P3は、2021年3月13日に日本でニュースになり、フィリピン由来の変異株だと報道されました。
しかし、フィリピン国内では、フィリピン変異種、フィリピン変異株というのはまったく報告されていませんでした。
そのため、フィリピン在住者の中には、これはフィリピン変異株ではない、と感じた人も多かったと思います(私も最初はそう思いました)。
しかし、WHOは同日、P3の存在を明らかにしました。これがフィリピンで変異したウイルスかどうかはわからないとした上で、これまでの英国型やブラジル型とは少し異なる特徴をもった変異種(P3)であると報告しました(参照)。
細かいことはわかりませんが、この名称はフィリピン株の相場を再度下げるのに十分な力があるように思います。また、感染力の強いこのフィリピン変異種がフィリピン国内で広がることは十分考えられます。
そのため、フィリピン株にいつ参入するかはとても重要です。少しでもはやく成果がほしければ、フィリピン株ではなく、金融政策で注目を集めているアメリカ株などを選んだほうがいいかもしれません。今のフィリピン株は長期的な視点が必要になりそうです。
日本円→フィリピンペソの為替レートが悪化
通貨のレートを悪化と表現するのは少し誤解があるかもしれませんが、日本円をフィリピンペソに換えたい人にとって、現在の為替相場は非常に厳しいです。
こちらのチャートをみるとわかるように、ここ数日でものすごい速度でレートが変わっています。
これは、ドルと円の関係においてドル高円安が進んでいるにもかかわらず、ペソとドルがそれまで変わっていないため、ペソ高円安が進んでいる形です。
昨年の終わり頃には、2021年は円高ペソ安になり、日本円からペソへの交換が有利になると報道されていました。私もそれを期待していたのですが、現在のところ、逆の相場に向かっています。
長期的な目線でみれば、円/ペソが0.44というのはまだまだお得、という見方もありますが、1年前は0.48とかだったことを考えると、為替レートだけで数%の損になるということです。
この相場が今後も続くのか、もしくは逆に動くのかはわかりませんが、フィリピン株を始めるには、円→ペソに両替する必要があるため、為替レートにも気をつけるとよいでしょう。
逆にフィリピン在住者は、今後のさらなる円安ペソ高を考慮し、ある程度現金でペソを持っておくことも大切かも。円ドルがこのまま110を突破、そして120になるという見通しもでています。こうなると、円→ドルの為替レートはさらに悪化するかもしれません。
少しでもレートを低くしたい方は、こちらの記事をお読みください。
フィリピン国内の教育力が大問題に
フィリピン国内において、教育の問題が取り上げられることが増えてきました。
コロナにより小中学校、高校、大学が閉鎖され、オンラインクラスのみが許可されています。
しかし、このオンラインクラスのクオリティがとにかくひどい。通信がつながらずほとんど動画が見れない家庭が続出。
また、学校から出させるモジュールという宿題は、子どもたちの実態とまったく合っておらず、親たちの宿題となっているという始末。
国の発展を支えるのは人材(人財)だと言われますが、現在、フィリピンの教育レベルはこれまでになく低調です。
またコロナ禍のよって10代の妊娠が増加するとともに、ストリートチルドレンの数も増えていると言われています。
確かに人口は増えていくフィリピンですが、教育レベルの低下により、世界で活躍できる人材が育つかどうかは微妙なところ。
フィリピンの未来は必ずしも明るいものではないのではないかと考えています。
フィリピンには世界に通用するビジネスがない?
現在、フィリピンが力を入れているのが、BPOと呼ばれる外部委託サービスです。カスタマーサポートなどですね。アメリカ企業などのコールセンターなどを、アメリカ人に変わって行っています。
これは、フィリピン国内に大量のお金を誘導することに成功しました。フィリピン政府は、フィリピンの主要ビジネスはBPOだ、とも言っているほどです。しかし、これはあくまでも外部委託サービスです。相手側の業績が悪化すれば、簡単に切られてしまうポジションなのです。
また、バナナやパイナップルの輸出も有名ですが、最近では台湾産のパイナップルが注目を集めるなど、簡単にいかなくなっているのも現状。
人口増加に伴い、国内におけるお金のまわりはよくなると考えられますが、世界に通用するビジネスを何らかの形で構築することが急務ともいえます。
フィリピンの経済情報が得にくい。証券会社のプラットフォームが使いにくい
フィリピン株で成功するには、フィリピンの経済情報に精通していることが重要です。しかし、フィリピンの経済に関するう情報は非常に少なく、情報を得るのに苦労します。また、ほとんどの情報は英語のため、英語が苦手な人はどうしても出遅れてしまいます。
また、証券会社のプラットフォームも、日本株になれている人からすると非常に使いにくいです。
おわりに~それでもフィリピン相場は熱い?~
フィリピン株を始める際に、ぜひ気をつけてほしい点を紹介しました。
フィリピン株は可能性を秘めているものの、現在上昇相場ではないこと、将来の発展にも赤信号がともっていることなどは、しっかりと理解しておくとよいでしょう。
しかし、フィリピンにはやはり可能性もあります。若手が多く、街は活気に満ちていますし、英語が話せることは世界ビジネスでプラスに働きます。また、私はフィリピン在中のため、フィリピンの企業を応援する上でフィリピン株は重要だと思っているので、結構な金額を入れています。
大切なことはルールを決めることです。私の場合、フィリピンに長く住むことが予想されるため、10年、20年、30年スパンという期間でフィリピン株を見ています。そのため今の一時的な下落はむしろ好都合で、できる限りお金をフィリピン株に移動させておこうと思っています。これだけのロングであれば、フィリピン株は間違いなく熱い市場といえるのではないかと私は思います。
最終的にフィリピン株を始めるかどうかは、ぜひご自身の判断で行ってくださいね。
フィリピン株でみなさんが大きな成功を収めることを心から願っています。
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